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顧客対応のAI活用は、履歴の整備から。過去の回答を「使える知識」に変えるには

執筆:XEROTTA編集部

ITサービス・業務改善の実務チーム

「同じような問い合わせが以前にもあったはず」。そう思って履歴を探しても、担当者によって記録の書き方が違い、必要な情報にたどり着けないことがあります。

顧客対応でAIを活用するなら、回答文を自動生成する前に、過去の記録をどう探し、どう確かめるかを考えておきたいところです。検索できる履歴が増えるほど、そこにある回答を現在の対応に使ってよいか、見極める仕組みも重要になります。

顧客対応の記録を整えるサービスが登場

ゴムマリ株式会社は2026年10月25日、「苦情・VoC・クレームのデータベース化」の提供開始を発表しました。同社によると、顧客からの申し出、対応の経過、回答をAIで分類し、判断の根拠を添えて利用企業の基盤へ登録するサービスです。VoCは、顧客の声を意味します。

公式サービス説明では、判断が分かれた記録は確認対象として残し、顧客への回答作成や対応の是非の判断は利用企業が担うとしています。ここで確認できるのは提供内容であり、検索精度や対応時間の削減効果を第三者が検証した結果ではありません。

以下は、この発表を踏まえた独自考察です。

1. 過去の履歴と、現在の推奨回答を分ける

過去に行った対応が、次の問い合わせにも適切とは限りません。製品の仕様や社内の対応方針が変わっていたり、その顧客に限った例外対応だったりするためです。

履歴には「いつ、どの製品について、何が起き、どう対応したか」を残します。一方、繰り返し使う回答例には、適用条件、確認した担当者、見直し日を持たせる。この二つを区別すると、担当者は過去の事実を参照しながら、現在の方針に沿って判断しやすくなります。

AIが似た文章を見つけたことだけを理由に、過去の回答をそのまま送らない。検索結果から元の記録と最新の社内情報を確認できる導線を用意したいところです。

2. 「分からない」を記録として残す

記録に製品名がない、対応が終わったか不明、問い合わせと担当者の見解が混在している。こうした履歴を無理に分類すると、見た目は整っていても、集計や検索で誤解を招きます。

例えば、製品不明の記録は「製品不明」のまま保留し、確認できた時点で更新します。「対応済み」と「解決を確認済み」も、必要に応じて別の状態として管理します。分類項目を増やすことより、各項目が何を意味するかを現場で共有することが先です。

検索結果に元の記述を添えれば、利用者は分類の妥当性を確かめられます。訂正した内容と理由を残す運用は、その後の分類ルールの改善にも役立ちます。

3. 件数より、次の対応で役立ったかを確かめる

データベースに登録した件数だけでは、現場で使えるかは分かりません。まず一つの製品や問い合わせの種類に範囲を絞り、最近の問い合わせを使って試してみます。

見るのは、必要な履歴が見つかった割合、無関係な結果の混入、探す時間、上長への確認が必要になった理由などです。検索が速くなっても、古い対応を参照して回答の訂正が増えているなら、見直すべき点が残っています。

最初は担当者の調査を支える用途から始め、評価を重ねて使う範囲を広げる。回答の自動送信まで一度に進めず、目的ごとに確認する方が、問題の所在を把握しやすくなります。

4. 共有する範囲と、更新の担当を決める

顧客対応の記録には、連絡先や取引内容などが含まれます。検索しやすくする際も、すべての担当者にすべての情報を見せる必要があるとは限りません。

誰が何を閲覧できるか、検索に不要な情報を除けるか、外部サービスへ渡す範囲はどこまでかを整理します。新しい記録の追加、古い回答例の見直し、分類の変更を誰が担うかも決めておくと、導入後に情報が古くなるのを防ぎやすくなります。

まとめ

顧客対応のAI活用では、履歴を増やすことに加えて、必要な記録を見つけ、その意味と現在の有効性を確かめられる状態が重要です。

まずは「最近よくある問い合わせに、過去のどの情報が役立つか」を現場で確認する。その小さな検証から、記録の項目、検索の方法、更新の責任を整えることが、日々使える仕組みづくりにつながります。

出典

1. ゴムマリ株式会社のプレスリリース
「ゴムマリの専門業務AI-BPO、『苦情・VoC・クレームのデータベース化』を提供開始」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000185093.html

2. ゴムマリ株式会社の公式サービス説明
「苦情・VoC・クレームのデータベース化」
https://gomumari.com/spot/claim-db/

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