
お客様からの問い合わせやご意見に、落ち着いて向き合える職場をつくる。そのためには、担当者の経験に加えて、困ったときに組織で支えられる仕組みが必要です。対応を引き継ぐ相手や、確認する情報が分かっていれば、判断に迷った場面でも次の行動を選びやすくなります。
帝国データバンクが2026年10月26日に公表した調査では、カスタマーハラスメントや不当な要求への対策を実施・予定している企業は68.9%でした。一方、直近1年間に被害を受けたと回答した企業は15.3%。調査は9月14〜30日に実施され、有効回答は10,235社です。68.9%には予定段階の企業も含まれ、対策の効果を測った数字ではありません。
出典:帝国データバンク「カスタマーハラスメントに関する企業の実態調査(2026年9月)」
この調査をきっかけに、顧客対応の流れを日々の業務として整える方法を考えてみます。
正当なご意見を受け止める入口を大切にする
厚生労働省は、社会通念上許容される範囲の正当な申入れは、カスタマーハラスメントには当たらないと説明しています。また、障害に関する合理的配慮を求める意思表示そのものも該当しません。
まずは、お客様が何に困り、何を求めているのかを確認することが出発点です。商品やサービスの不備への指摘と、対応中の言動を分けて記録すれば、解決すべき問題と、働く人を守るために必要な対応を整理しやすくなります。
担当者が一人で抱え込まない流れを決める
現場で判断に迷ったとき、誰に相談するか。主担当が不在なら、誰が引き継ぐか。こうした連絡先を、普段使う業務ツールの見つけやすい場所にまとめます。
一次対応をする人、内容を確認する責任者、専門家への相談を判断する人を整理し、どの場面で引き継ぐかも共有します。対応を続けるかどうかの難しい判断まで、窓口の担当者一人に任せないことが大切です。
記録は、次の対応につながる形にする
例えば、受付日時、相談内容、確認できた事実、実施した対応、次の担当者を同じ形式で残します。推測や評価は事実と区別し、お客様と担当者の双方の説明を確認できるようにします。
個人情報や相談内容を広く共有しすぎない配慮も必要です。閲覧できる人、保存する期間、不要になった記録の扱いを決め、関係する担当者が必要な情報を確認できる形に整えます。
小さな練習で、使える仕組みに育てる
手順書ができたら、身近な問い合わせを想定して短い練習をしてみます。相談先はすぐ見つかるか。引継ぎに必要な情報はそろうか。責任者が不在でも対応が止まらないか。実際に試すと、文章だけでは気づかなかった不足が見えてきます。
大きなシステムを導入する前に、今ある問い合わせ管理や社内の連絡ツールでできる改善もあります。運用して見つかった課題を記録し、担当者の声を聞きながら手順を更新していきます。
お客様の声を丁寧に受け止めることと、働く人が安心して対応できること。その両方を支えるために、情報の整理、相談先の明確化、記録の管理から始めてみてはいかがでしょうか。



