
「こんなサービスがあったらいい」と思っても、形にするまでには時間がかかる。これまでは、その間に立ち止まってしまうアイデアもありました。
ところが、AIを使った開発では、アイデアを具体的な形にするまでの速さに驚かされます。日中の仕事を終え、夜に考えを伝えると、そこから開発が進んでいく。頭の中にあったものを、実際に見て、触って、確かめられるようになるまでの距離が縮まっています。
この変化を経験するなかで、改めて重要だと感じているのが、「何をつくるか」を考える力と、それを使う人との接点です。
開発が速くなるほど、発想と設計が重要になる
AIによって実装の自動化が進めば、今後は検証やリリースにも、さらに活用の範囲が広がっていくでしょう。
そのとき、人が力を注ぐべきなのは、現場の困りごとを見つけ、必要な機能や使い方を整理することです。
誰が、どのような場面で困っているのか。何ができるようになれば、その人の仕事が楽になるのか。そこを具体的に描けなければ、開発がどれほど速くなっても、役に立つサービスにはつながりません。
そして、できあがったものを相手に説明し、使ってもらい、改善につなげる役割も欠かせません。要件や設計を理解し、お客様の言葉で伝える。導入後の疑問に答え、現場の声を次の開発へ戻す。こうした仕事の重要性は、これからますます高まると考えています。
異業種での経験が、サービスづくりの出発点になる
現場の課題を具体的に想像するうえでは、これまでに経験してきた仕事が大きな手がかりになります。
営業の経験があれば、商談や顧客管理で何に手間がかかるかがわかる。教育や医療などの現場を知っていれば、その仕事ならではの不便さにも気づけます。
そうした経験を持つ人がITの支援に関わることで、利用者と開発の橋渡しができるのではないでしょうか。
最初はサービスの説明やサポートから始め、現場への理解を深めるうちに、「ここを変えたい」「自分でもつくってみたい」という思いが生まれるかもしれません。その気づきを形にしやすくなることも、AIを活用する価値の一つです。
地域で働きながら、地域のDXを支える
この考え方を、将来的には地域のDX支援にもつなげたいと考えています。
日々の業務に追われていると、不便さを感じていても、具体的な改善策まで思い描くのは難しいものです。「何をしたいですか」と聞くだけでは、解決の糸口が見つからないこともあります。
そこで必要になるのが、現場の話を聞き、「このやり方なら、ここまで変えられます」と具体案を示せる存在です。
構想しているのは、地域ごとに少人数のチームをつくり、その土地の企業や自治体を継続的に支える形です。地域を知る人と、デジタルの可能性を示せる人が協力することで、実情に合った提案ができると考えています。
地域の若い人たちが、地元に暮らしながらITに関わる仕事を選べる。リモートワークも含め、働き方の選択肢が広がる。そうした未来にもつなげていきたいと思っています。
採用でも、答えに至る過程を知りたい
身近な業務の改善として考えているものの一つが、面接を支援するツールです。
会話を記録し、要約するだけでなく、応募者がどのように考え、伝える人なのかを理解する手がかりを増やせないか。そのためのアイデアを話し合っています。
例えば、「世の中にあったらいいと思うサービスを考えてください」という課題に、AIを使って取り組んでもらう方法です。
完成した回答に加えて、AIにどのような指示を出したのか、返ってきた提案のどこを修正したのかを聞く。すると、課題の捉え方や、考えを整理して伝える過程が見えてくるのではないでしょうか。
面接での第一印象だけでは、その人の働き方まではわかりません。だからこそ、具体的なやり取りを通じて理解を深める方法を考えたい。採用に関わるツールでは、便利さとともに、何を根拠に判断するのかも慎重に検討していく必要があります。
「もう少しこうだったら」を、次の改善につなげる
サービスづくりの出発点は、日々の仕事のなかにある小さな違和感です。
「この記録を、もっと活用できたら」
「この手間を減らせたら」
「ここまで支援してくれたら、もっと使いやすい」
AIによって、そうした気づきを試作品にし、確かめるまでの時間が短くなっています。
だからこそ、使う人の声を聞き、試し、改善する。その積み重ねを大切にしたいと考えています。
つくる速さを、人や地域の役に立つ変化へつなげていく。そのために、発想と設計、そして現場との対話を磨いていきます。



