ワークマンの作業着の話をしていたら、いつの間にか「工場の壁も、もっと格好よくできないかな」という話になりました。服と壁。商品としてはずいぶん違いますが、私の頭の中では、同じ「方程式」でつながっています。
作業着から、工場の壁まで
ワークマンは、仕事着で培った機能を、アウトドアや普段着にも生かしてきました。私が面白いと思うのは、雨を通さない、動きやすいといった良さは、仕事の現場を離れてもそのまま役に立つことです。そこに街で着たくなるデザインが加われば、作業服を買うつもりのなかった人にも、手に取る理由ができます。
この事例から私が取り出した方程式は、「プロが機能で選んでいるものに、見た目でも選びたくなる理由を足す」というものです。では、病院で働く人のユニフォームならどうでしょう。動きやすさや洗いやすさを保ちながら、着る人が好きな一着を選べたら。服から少し離れて、工場の壁材ならどうか。丈夫さはそのままに、働く人が毎日見ていて気持ちのよい色や質感を選べたら。そう考えると、最初は結びつかなかったものが、次の候補に入ってきます。
もちろん、何でもおしゃれにすればいいわけではありません。例えば、お寺で着る法衣はどうか。これまでの形に意味を感じている人にとっては、見た目を変えることで失うものもあるはずです。自分の方程式に合わない例まで考えると、何を残すべきかが見えてきます。
「この考え方なら、ほかに何がある?」
私がAIに聞きたいのは、ここからです。例えば、こんなふうに聞きます。
プロが機能で選ぶものに、暮らしの中で選びたくなるデザインを加える。作業着以外で、この考え方が生きるものはありますか。残したい機能も一緒に挙げてください。
こう聞けば、返ってきた案を見ながら「確かに、それもあるな」と思えますし、「それは見た目を変えると肝心の良さがなくなる」とも言えます。自分の中に仮の答えがひとつあるから、意外な案のどこが面白いのかも分かるのです。
AIに相談する前に、まず自分で一例を挙げてみる。そして「この感じで、ほかにないかな」と聞く。私にとってAIが頼もしいのは、自分ひとりなら作業着の話で終わっていたところから、もう少し先まで考えられるときです。
XEROTTA株式会社
代表取締役 内匠屋 勇樹



