
気になるサービスに登録したものの、何を試せばよいか分からないまま期間が終わってしまう。SaaSの試用では、こうした状況を避けるために、申し込み前から確かめたい業務と評価方法を決めておくことが大切です。提供する側も、利用者が最初の作業を終えるまでを案内に含めることで、導入の相談を具体的にしやすくなります。
使い始めるまでの負担に目を向ける
株式会社TorchUpは2026年11月7日、SaaSの試用や商談への案内を見直すための資料公開を発表しました。同社は、設定、データの移行・連携、利用者の権限、業務変更の負担に応じて、試用・デモ・相談を使い分ける考え方を紹介しています。発表原文には、資料中の数値や区分は検討用の例であり、成果を保証しないことも明記されています。
ここからは、この発表をきっかけに、企業がSaaSの試用を進める際の準備を考えます。以下は資料の内容を再現したものではなく、IT支援・業務改善の観点での提案です。
試す業務と終了時の判断を先に決める
最初に、改善したい作業を一つ選びます。例えば、社内の問い合わせを管理したいなら、「受付から担当者への引き継ぎ、回答の記録までを試す」と範囲を決めます。機能一覧を順番に触るより、実際に使う場面を再現した方が、必要な機能や説明の不足を見つけやすくなります。
試用が終わったときに何を判断するかも、担当者間でそろえておきましょう。「導入する」「条件を変えて再確認する」「今回は見送る」の判断に必要な情報を、あらかじめ書き出します。操作しやすかったという感想に加え、現行の手順と比べて困り事が減ったか、別の担当者でも作業できたかを残すと、社内で説明する材料になります。
最初は業務データを入れずに確かめる
操作を確認する段階では、架空の顧客や注文を使ったサンプルデータから始める方法があります。顧客情報を登録した後で、保存先や削除方法が分からないと気づく事態を避けるためです。
実データがなければ評価できない項目は、別に分けておきます。その試験へ進む前に、情報を扱う社内ルール、契約条件、閲覧できる人、保存・削除の方法を確認します。試用アカウントを用意したことだけで、実データの登録まで承認されたと扱わないことが重要です。
また、試用を始める担当者が、本番で使う全員の管理者になる必要があるとは限りません。誰が設定を変更し、誰が内容を見るのかを決め、必要な権限で業務が進むかも確認対象にします。
止まった理由を分けて記録する
試用中に作業が止まったら、できなかった操作と、そのときの状況を短く残します。設定方法が不明だったのか、社内の承認待ちだったのか、必要な機能がなかったのかによって、次に相談すべき相手は変わります。
製品を提供する側は、こうした記録を基に、画面の説明を直すのか、導入時の相談を用意するのかを考えられます。利用企業側も、質問をまとめて伝えれば、同じ内容を別の担当者が繰り返し確認する負担を減らせます。
サポートへ資料を渡す場合は、必要な範囲に絞り、機密情報や個人情報が含まれていないかを確認します。画面の画像だけで状況を伝えられる場合も、氏名や取引情報が写り込むことがあります。
試用を終える手順まで用意する
導入を見送る場合にも、作業は残ります。入力したデータを取り出せるか、不要なアカウントや外部連携を解除できるかを確認し、社内の担当者を決めておきます。無料期間後の課金条件や解約期限も、個別のサービスごとに確かめる必要があります。
継続する場合は、試用時の設定をそのまま本番にする前に、利用者、権限、運用担当を見直します。試験のために広く設定した権限や、仮の通知先が残っていないかを確認しましょう。
SaaSの試用は、自社の仕事で使えるかを判断する機会です。XEROTTAのIT支援・業務改善という視点でも、試す範囲と判断の基準、終了時の作業を整えることが、次の導入判断を進める土台になると考えます。
※企業発表は2026年11月7日時点の情報です。XEROTTAによる当該資料の効果検証、導入実績、TorchUpへの関与を示すものではありません。



