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AI窓口は「答える範囲」から設計する――名古屋市中区の多言語実証に学ぶ

執筆:XEROTTA編集部

ITサービス・業務改善の実務チーム

※画像はAI生成イメージです。

必要な情報を用意することと、必要な人へ届けることは別の課題です。行政の生活案内はもちろん、企業の社内規程や利用マニュアルでも、読む人の言語や利用時間が違えば、情報を探す負担が生まれます。AIによる案内を考えるとき、注目したいのは回答の流暢さだけではありません。「何を根拠に答え、誰が情報を更新するか」という運用設計です。

名古屋市中区で予定される多言語の生活案内

ブリッジウェルは2026年10月26日、名古屋市中区と連携し、ToyTalkを使った「中区外国人AIコンシェルジュ」の実証実験を11月2日から2027年3月31日まで行うと発表しました。同社発表によると、名古屋生活ガイドに基づく案内を57言語・24時間で提供する計画です。ウェブ検索は使わず、登録資料を回答の対象とし、区役所の担当者が資料を更新する構成とされています。現時点では開始前の計画であり、利用実績や改善効果が報告されたものではありません。出典:ブリッジウェルの発表

企業への示唆①――AIに渡す前に、情報を整理する

ここからは、この構成を手がかりにした独自の考察です。社内問い合わせにAIを使う場合も、最初から全資料を取り込むより、対象業務を絞り、正本の所在を決めることが重要だと考えます。同じ手順の旧版と新版が混在していれば、検索できる情報が増えても、案内の一貫性は保ちにくくなります。

導入前には、資料ごとに管理責任者、適用開始日、見直し日を整理し、廃止した情報を回答対象から外す手順まで用意したいところです。資料を限定することだけで正確性が保証されるわけではないため、実際の質問を使った回答確認も欠かせません。

企業への示唆②――人につなぐ経路を残す

答えられない質問や、個別判断が必要な相談は必ず残ります。AIが推測で埋めるのではなく、担当窓口や確認すべき原文を案内できる設計が望まれます。多言語対応でも、重要な手続きの表現は言語ごとに確認し、「対応言語数」と「確認済みの案内品質」を分けて管理するとよいでしょう。

効果測定も、問い合わせ件数の減少だけでは不十分です。回答できなかった質問、訂正が必要だった回答、有人対応につながった割合などを確認すれば、情報不足と仕組みの問題を切り分けやすくなります。機密情報や個人情報を入力してよいかも、利用ルールとして先に明確にする必要があります。

まとめ――公開後に育てられるAIを目指す

AI導入の検討では、機能の比較と同じくらい、資料の管理、回答の確認、人への引き継ぎを具体化することが大切です。XEROTTAのIT支援・業務改善という観点でも、導入して終わりではなく、担当者が無理なく更新と検証を続けられる設計が重要だと考えます。

※本稿は公開発表を基にした独自考察です。XEROTTAが本実証へ関与した事実を示すものではありません。

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