
仕事で対価をいただけるのは、自分が身につけた知恵や技術で、誰かの課題を解決できるからです。
多くの人が「難しい」「自分にはできない」と感じる課題ほど、乗り越えた経験には価値があります。時間をかけて試行錯誤した人は、同じところで困っている人に、進むための示唆を与えられる。その助けに対する「ありがとう」が、対価につながるのです。
私は、この基本をもっと大切にしてほしいと思っています。
1年、2年で、自分の可能性を決めない
特にIT業界は、簡単に実力が身につく世界ではありません。私の感覚では、一人前の土台をつくるだけでも、最低5年は見ておきたい。1年、2年は、わからないことに向き合っているうちに過ぎていきます。
それなのに、「自分には向いていない」「会社が評価してくれない」と、早い段階で見切りをつけてしまう人がいます。
もちろん、環境を変えるべき場合もあります。ただ、課題に向き合わないまま場所を変えても、似た壁にぶつかることはあります。判断する前に、自分が何を試し、何を改善したのかを振り返ってほしいのです。
難しい課題を引き受け、経験を積んだ人は、解決できる問題が増えていきます。その専門性が、高い報酬を得る土台になります。長く在籍したこと以上に、その時間で何を乗り越えたかが大切です。
成長する人は、現在地を認めて改善する
成長する人には、「今はできていない」と認める素直さと、「工夫すれば乗り越えられる」という自信があります。
先輩やお客さんから指摘されたとき、まず内容を理解し、自分の仕事を見直す。そして、次の行動を変える。この繰り返しが、実力を育てます。
学校や部活動などで、指摘を受けて改善し、できるようになった経験がある人は、その価値を実感しているかもしれません。まだそうした経験がなくても、仕事の中で積み重ねることはできます。
指摘を聞くだけでは、成長にはつながりません。実際に試し、結果を確かめ、自分のやり方を更新するところまでが大切です。
他責・過去思考から、自責・未来志向へ
「あの人の教え方が悪かった」「評価されなかった」と過去を振り返ることにも、原因を整理する意味はあります。しかし、そこだけにとどまっていても、次の仕事は変わりません。
成長につながるのは、「その状況で、自分には何ができるか」「次はどうすればよいか」と考える姿勢です。
ここでいう自責思考は、すべての責任を自分に押しつけることではありません。自分が変えられる部分を見つけ、行動を引き受けることです。
説明が足りなかったなら、次は何を確認するか。評価に納得できないなら、期待される水準をどう確かめるか。失敗したなら、次に何を変えるか。
過去から学び、未来の行動に結びつける。その姿勢が、自分の成長を前へ進めます。
日々の姿勢は、時間がたつほど表れる
最初は、意欲や言葉で自分をよく見せることもできます。しかし、数年一緒に働けば、普段の姿勢は仕事に表れます。
難しいことを後回しにする。言い訳で指摘を退ける。成果より先に承認を求める。他人の評価を気にする一方で、自分の改善には取り組まない。そうした習慣が続けば、実力との差は隠せなくなっていきます。
私が仕事で人間性を重視するのは、その人が毎日の課題にどう向き合うかで、学びの積み重なり方が変わるからです。わからないことを認める誠実さ、助言を受け止める姿勢、やるべきことを続ける責任感。それらは、技術を伸ばす土台にもなります。
ITの仕事には、理解するまでは難しく、仕組みがわかると驚くほど簡単になる場面があります。その「わかる」までの過程に、どれだけ向き合えるか。
今できないことを認め、指摘から学び、次の行動を変えていく。その試行錯誤で得た知恵が、いつか誰かの困りごとを解決します。
「ありがとう」と言っていただける仕事は、その積み重ねの先にあるのだと思います。
XEROTTA株式会社
代表取締役 内匠屋 勇樹



